【よくわかる!加温加湿器入門 part41】加温加湿器の位置はどこに置く?自動給水のボトルの高さって大事?(part 4)
前回は、加温加湿器と自動給水用の注射用水の固定位置について説明しました。今回は同タイトルのPart4になります。
前々回に、HFOモードが使用できるSLEシリーズ人工呼吸器における自動給水型加温加湿チャンバーに使用する注射用水のボトルの高さについて説明しました。
今回は、HFOの元祖といえる純日本製の人工呼吸器、ハミングシリーズにおける注射用水の高さについて説明していきます。
HFOの制御にピストンを使用している唯一無二の人工呼吸器です。
ピストン式HFO人工呼吸器であるハミングシリーズの制御については、本連載のNo.25、No.26 を参照してください。
HFOの制御には、平均気道内圧(MAP)と振幅(アンプリチュード)の2つがあります。ハミングシリーズでは、基本的にピストンを動かすストロークボリュームを設定することによって、その結果として振幅が得られます。この方法では、振幅は常に変化します。新しい機種では、振幅を設定して、ストロークボリュームを自動的に制御する方法もあります。
人工呼吸器に表示される圧力は、ETT(気管チューブ)の圧力であり、回路内圧とほぼ同じになります。ストロークボリュームのすべてが換気されるのではなく、患者にはストロークボリュームの一部しか換気されず、ストロークボリュームの多くは呼吸器回路内だけで動きます。よって、人工呼吸器に表示される圧力と肺内圧は全く異なります。
自動給水に影響するのは回路内圧になります。
平均気道内圧が20㎝H2Oで、振幅が100㎝H2Oであった場合、回路内圧の最大値は、平均気道内圧+振幅/2で計算されるため、20㎝H2O+100㎝H2O/2=70㎝H2Oになります。
回路内圧から考えると、自動給水用注射用水の液面の高さと自動給水加温加湿チャンバーの液面との差は70㎝以上が必要になります。
しかし、ハミングシリーズの呼吸器回路には、HFOの振動が加温加湿チャンバーの空気部分で振動が減衰することの対策として、加温加湿チャンバーの出口にインピーダンスバルブ(写真1)という特殊なデバイスが挿入されているために、加温加湿チャンバーにはHFOの振動圧がそのまま伝わらないようにしています。
(写真1:インピーダンスバルブ)
インピーダンスバルブは、通常の換気モードでは開放状態になりますが、HFOでは吸気ガスの通り道を細くしています。(写真2)よって、加温加湿チャンバーの圧力は、HFOの最大圧力よりも低くなっていますが、ベースフローとして流れるガスの通り道が細いので、通常の換気モードより高圧になるため、注射用水の高さは、通常の換気モードより高くする必要があります。
(写真2:インピーダンスバルブの動作原理)
HFOは重症な肺疾患に使用され、平均気道内圧が30㎝H2O近くまで上げることや、振幅が150㎝H2Oを超えることも考えられるため、高い位置に注射用水を固定できるアームを使用する必要があります。
注射用水の液面との差は余裕をもって、1mぐらいあったら良いのではと考えています。この数値については、あくまでも筆者の経験的に考える数値なので、曖昧な数値になりますが、通常の換気モードの高さよりHFOでは高くしなければいけないことを理解して頂ければと思います。
次回も、自動給水に関連する注意点について説明したいと思います。
~この記事の執筆者~

松井 晃
KIDS CE ADVISORY代表。臨床工学技士。
小児専門病院で40年間勤務し、出産から新生児医療、急性期治療、慢性期医療、在宅医療、ターミナル期すべての子供に関わり、子供達から“病院のお父さん”と呼ばれる臨床工学技士。
小児呼吸療法を中心としたセミナー講師や大学の講師などを務める。著書多数。
