【よくわかる!加温加湿器入門 part38】加温加湿器の位置はどこに置く?自動給水のボトルの高さって大事?
加温加湿器の位置はどこに置く?自動給水のボトルの高さって大事?
今回は、加温加湿器と自動給水用の注射用水の固定位置について説明します。
加温加湿器本体の設置位置は、患者さんの高さより下にするのが原則です。
患者さんの高さより低いところに加温加湿器を設置することで、吸気回路に貯留した結露が患者さんに流れず、加温加湿チャンバーに流れ落ちるようにするのが目的です。
小児や新生児では、定常流やバイアスフローと呼ばれる呼気に流れるガスがあるため、必ずしも吸気回路内に貯留した結露が加温加湿チャンバーに戻ることはありませんが、患者さんに多量の結露が流れ込み、溺れさせてしまうことを回避できます。
これは、だれしもがご存じのことであったと思いますが、自動給水用で使用する注射用水のボトルの高さはどのくらいにしたらよいのでしょう。
自動給水は、加温加湿チャンバーの水の高さと、注射用水の液面の高さに違いによって自動的に給水が可能になります。
ですから、注射用水は必ず加温加湿器よりも高位置に吊るさなければいけません。
先に申し上げた通り、注射用水の高さではなく、注射用水の液面高さが加温加湿器より高い位置でなければなりません。
上記が最も基本になりますが、さらに追加して考える必要なことがあります。
これは、人工呼吸器で設定された圧です。
人工呼吸器の圧力の単位は“㎝H2O”です。
これは、水を何㎝持ち上げる力という意味で、20㎝H2Oで最大吸気圧を設定したら、水を20㎝持ち上げる力を肺胞にかけているということです、
そして、この20㎝H2Oは加温加湿チャンバーの水面にも加わっているのです。
よって、注射用水の液面より加温加湿チャンバーの液面の高さが20㎝、高い位置にあったとしても、加温加湿チャンバーの液面には最大吸気圧の20㎝H2Oが加わっているため、
注射用水の液面の高さ20㎝(H2O)-最大吸気圧20㎝H2O=0㎝H2O
になってしまうため、自動給水はできないことになってしまいます。厳密には、呼気相の最大吸気圧より低いPEEPになっているため、呼気相では給水されます。
安全に給水が止まらずに加温加湿チャンバーの水位が一定に保たれるには、常に、人工呼吸器の最大吸気圧より高い位置に注射用水を吊り下げる必要があります。
重症なARDSの患者さんでは、最大吸気圧を40㎝H2Oぐらいに設定することもあると思いますので、注射用水の液面が常に加温加湿チャンバーの液面より40㎝高い位置になるように注射用水を吊るします。
あくまでも、注射用水の液面というのは、注射用水が空になるギリギリの液面との差で考える必要があります。
注射用水の新しいものであれば、液面は高い位置になるので、問題なく給水が行われます。しかし、注射用水が減っていき、液面が低下し、最大吸気圧との差が0㎝になると自動給水は止まります。これは、最大吸気圧が加温加湿チャンバーの水面を押し付けているからです。そして、注射用水の液面の高さより、加温加湿チャンバーの液面を押さえつける最大吸気圧が上回り、落差圧が逆転しマイナスの圧になると、加温加湿チャンバーの水位を調整するフロート(浮き子)の位置も下がり、給水チューブが開放されてしまいます。自動給水の給水チューブが開放されるということは、この時に、人工呼吸器から送気されてきたガスが、注射用水のボトルに逆流してしまうのです。注射用水が空になっていなくても、吸気ガスが注射用水のボトルにボコボコと逆流してしまうのです。
ですから、注射用水のボトルの高さは、加温加湿チャンバーの液面と注射用水がなくなるギリギリの液面の差が最大吸気圧+20㎝になるぐらいが良いのではと考えます。
加温加湿器より注射用水のボトルが上にあれば良いだろう、という考えだけでなく、もし注射用水のボトルの水が少なくなり、液面が下がったら、落差圧が低下するということも考え、また、人工呼吸器の最大吸気圧が加温加湿チャンバーの液面に加わっていて、加温加湿チャンバーの水面をゼロ圧と考えてはいけないということです。
今回は、自動給水で使用する注射用水のボトルの固定位置がどのくらいの高さにあれば良いのかについて説明しました。
次回も、自動給水に関連する注意点について説明したいと思います。
~この記事の執筆者~

松井 晃
KIDS CE ADVISORY代表。臨床工学技士。
小児専門病院で40年間勤務し、出産から新生児医療、急性期治療、慢性期医療、在宅医療、ターミナル期すべての子供に関わり、子供達から“病院のお父さん”と呼ばれる臨床工学技士。
小児呼吸療法を中心としたセミナー講師や大学の講師などを務める。著書多数。
