ハイフローセラピーとは

ハイフローセラピーとは

                           

ハイフローセラピーは、経鼻高流量療法(NHFT:Nasal High Flow Therapy)、
経鼻高流量酸素療法(NHFOT:Nasal High Flow Oxygen Therapy)、
高流量鼻カニューレ療法(HFNC(T):High Flow Nasal Cannula Therapy)、
高流量酸素鼻カニューレ療法(HFNCO(T):High Flow Nasal Cannula Oxygen Therapy)など
多くの呼び名、略語が存在する治療法です。 ネーザルハイフローと呼ばれることが多かったのですが、全て同義語で同じ治療法になります。
日本ではハイフローセラピーと言う名称で診療報酬が算定されるので、このサイトでは『ハイフローセラピー』で統一して説明します。
ハイフローセラピーとは、一定に調整された酸素濃度のガスを、1回換気量以上の流量で連続的に鼻カニューラを通して投与する治療法で、
吸気仕事量を軽減するなどの効果があります。
成人では30L/分以上の流量で送気され、70L/分程度まで上げることもあります。
経鼻酸素カニューレで行う低流量酸素療法でも、鼻粘膜刺激を低下させるために加湿を行いますが、
フローセラピーでは、多量のガスが送気されるため鼻粘膜刺激が非常に強い治療法になります。
ハイフローセラピーを可能にしているのは、送気ガスを加温・加湿することで鼻粘膜刺激を軽減できることであり、ハイフローセラピーでは 加温加湿器は必須のアイテムとなります。
この加温・加湿が、気道の乾燥化を防ぎ、線毛運動を正常に保つなど、分泌物管理にも効果を示し、快適な呼吸管理が可能になります。


ハイフローセラピーの特長

様々な症例に適用可能

                           

ハイフローセラピーは、酸素療法とNPPV(非侵襲的陽圧換気)の間に位置付けられた治療法です。
酸素療法は動脈血の酸素を増やす効果はありますが、努力性呼吸を軽減する効果は低いです。
換気効率が悪いために高濃度酸素による治療に進みやすくなります。
今まで酸素療法で治療を行ってきた中等度呼吸不全の患者にハイフローセラピーを使用することで、
吸気仕事量を低下させ、換気効率を改善し酸素化効率を上げることができ、酸素濃度も下げることが可能になります。
努力性呼吸が軽減するので、安楽な治療を進められます。
また、ハイフローセラピーには適度なPEEP効果と換気効率の改善があるため、
今までNPPVを行ってきた症例にも応用できます。NPPVではマスクの装着を拒否する症例もあり、
この様な症例にハイフローセラピーへ変更することで治療を進めることも可能になります。
ハイフローセラピーは、急性期(軽度なARDSなど)、慢性期(COPDなど)、在宅医療(COPD)など幅広い症例で使用できます。

飲食が可能なため、快適

ハイフローセラピーは、経鼻カニューレを通して呼吸管理を行うため、
マスクを使用して呼吸管理を行う場合と比較して、飲食やコミュニケーションが可能になります。
そのため、患者も快適に呼吸管理を行いながら生活することができ、QOLに配慮した治療が可能となります。
(高齢者や乳児など嚥下機能が十分でない患者では誤嚥に注意しましょう)

安定した酸素濃度の投与が可能

低流量酸素療法では、大気と混合して酸素を吸うため、酸素濃度は患者の呼吸状態により変化します。
ハイフローセラピーでは安定した酸素濃度(病院等の施設であれば100%の酸素濃度まで)の酸素を
多量に送気するため、大気を吸うことがなく、安定した酸素濃度で治療が可能になり、
不必要な高濃度酸素を投与することがなくなります。
また、Ⅱ型呼吸不全をともなう慢性呼吸不全の急性増悪などでは、
高濃度酸素によりCO₂ナルコーシスを起こすことがあるため高流量酸素療法が行われますが、
一定の酸素濃度が保てるハイフローセラピーはこの様な患者にも使用することができます。
(在宅療法においては、酸素供給装置の酸素供給範囲内の酸素濃度になり高濃度酸素の投与はできません)

呼吸仕事量の軽減で呼吸困難感を軽減

                           

ハイフローセラピーは、1回換気量以上のガスを送気するため、
呼吸仕事量、特に吸気仕事量が軽減できます。
大きな吸気努力をせずに吸気が行えるため、1回換気量は増加し、
吸えないという呼吸困難感を軽減するため多呼吸の状態が安定した呼吸に変化します。

持続的な気道の開存

                           

ハイフローセラピーは、吸気・呼気に関係なく一定のガスを多量に送気するため、
吸気時・呼気時ともに、気道を継続的に開存させる効果があります。
呼吸器感染症などによる気道の浮腫や、
気道が攣縮するような病態において効果を示します。

PEEP様効果による酸素化の改善

                           

ハイフローセラピーは、呼気時にもガスが多量に流れるため、呼気を吐きづらくする作用があります。
呼気を吐きにくくすることで、呼気時に肺胞が虚脱しないPEEP様の効果があり、
これによって機能的残気量が増大し、呼気時にも酸素を取り入れる効果が働き酸素化の改善に繋がります。
このため、酸素化の改善によって、酸素濃度を低下させることが可能になります。
従来のリザーバー式酸素マスク療法による高濃度酸素療法を行っている患者においては、
努力性呼吸を軽減する治療法にはなっていません。
この様な患者にハイフローセラピーを行うと、
酸素化の改善や呼吸仕事量の軽減等の効果で酸素濃度を下げることが可能になります。
ハイフローセラピーは積極的にPEEPを加える機能はありません。
PEEP様効果を得ようとガス流量を増大させると、呼気仕事量が増加し、
努力性呼吸が悪化することもあるので注意しましょう。
(後述するウォッシュアウト効果も同様)

解剖学的死腔の二酸化炭素をウォッシュアウトできる

人の上気道には、呼気の全てを排出することができず、二酸化炭素を含んだ呼気ガスが貯留する場所があります。
これを解剖学的死腔と呼びます。
健康であれば、この二酸化炭素を含んだ呼気ガスを再呼吸しても、血液ガスは正常値に制御できます。
しかし、呼吸不全の患者では、この二酸化炭素を含んだ呼気ガスを再呼吸することで、高炭酸ガス血症の原因になります。
ハイフローセラピーでは、呼気時にも多量のガスが上気道に吹き付けられるため、
解剖学的死腔のガスを洗い流す(ウォッシュアウト)効果があり、
高炭酸ガス血症を回避するために多呼吸で代償している患者においても呼吸を安定する効果があります。
軽度のⅡ型呼吸不全(PaCO₂が60mmHg程度)の疾患も適応になります。

                   

粘膜線毛運動を最適化

ハイフローセラピーでは、加温加湿器を通して吸気ガスを加温・加湿して供給します。
加温加湿器の使用がハイフローセラピーを可能にしている要因であることを前述しましたが、
この加温・加湿によって、粘膜線毛運動を最適化させ排痰を促すことができます。
分泌物管理がしっかりできることが呼吸管理の基本であり、加温加湿器の重要性をご理解頂ければと思います。


ハイフローセラピーに
使用される医療機器

ハイフローセラピーは、ハイフローセラピー専用の装置、
ハイフローセラピーモードを有している人工呼吸器、
在宅医療では「加熱式加湿器」として認可された装置のみで診療報酬が算定可能です。
病院等の配管を有する施設であれば、専用器がなくても、
酸素ブレンダー・加温加湿器・ハイフローセラピー用鼻カニューレ・ハイフローセラピー専用回路
を組み合わせることで使用できます。

酸素ブレンダ―+酸素流量計

酸素ブレンダーは、医療施設にある中央配管から供給される酸素と空気に接続することで
21%~100%の酸素濃度のガスを生成することができます。
酸素ブレンダ―には付属する酸素流量計にて、患者に供給する酸素流量を調整します。
ハイフローセラピーは高流量のガスを供給するため、
酸素流量計は高流量が流せるタイプとの組み合わせが必要です。
成人であれば最低でも40L/分計を使用しましょう。
70L/分が流せる酸素流量計が一体化した酸素ブレンダ―もあります。

加温加湿器

加温加湿器は、パスオーバー方式で温度設定ができるデュアルサーボ方式の加温加湿器を選択しましょう。
パスオーバー方式の加温加湿器は、水面を通過する瞬間に熱と水分を取り込むシステムであるため、
高流量ガスに対しては加温加湿効率が悪くなります。
そのため、加温加湿チャンバーの水温は100℃近くまで上がる性能を有しているものも多いですが、
ハイフローセラピーの効果が十分に発揮できる加温加湿器を選択する必要があります。

ハイフローセラピー用鼻カニューレ

ハイフローセラピーでは、専用の鼻カニューレを選択します。
鼻腔に装着し、両側鼻腔から酸素ガスを供給します。
酸素療法で使用される経鼻酸素カニューラと似た形状のものもありますが、
ハイフローセラピーの効果を得るために、先端の形状が細くなっています(ジェット流が作りやすい)。
また、1回換気量以上のガスを供給するため、不要なガスが鼻腔から逃げることが必要です。
よって、カニューレの太さ(鼻腔の部分)は鼻腔径の1/2のサイズを選択します。


ハイフローセラピーのよくある質問

ハイフローセラピーに関するよくある質問を紹介いたします。


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