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【よくわかる!加温加湿器入門 part39】加温加湿器の位置はどこに置く?自動給水のボトルの高さって大事?part2

 前回は、加温加湿器と自動給水用の注射用水の固定位置について説明しました。今回は同タイトルのPart2になります。

 前回、自動給水型加温加湿チャンバーに使用する注射用水のボトルの高さは、加温加湿チャンバーの液面と注射用水がなくなるギリギリの液面の差が最大吸気圧+20㎝になるぐらいが良いのではと記載しました。

 では、全ての人工呼吸器において、この高さで大丈夫でしょうか。いくつか人工呼吸器の制御や換気モード(HFO)によって給水ボトルの高さを高くする必要がある場合がありますので説明していきます。

 今回は、SLEシリーズの人工呼吸器についてです。SLE人工呼吸器の制御については、本連載のNo.28 を参照してください。

 SLEは他の人工呼吸器と異なる圧力の制御方式を導入しています。呼気側から口元に向かってバックフローを流すことで、気道内圧を調節しますが、これを可能にしているのは、吸気回路の一番患者に近い部分(口元コネクターの手前)に、抵抗コネクターが挿入されているからです。このデバイスを「リストリクタ」と呼んでいますが、このデバイスがあることによって、呼気側からのバッグフローによって吸気回路内に圧力が逃げることなく、気道内圧を上げることができます。

 吸気回路の末端に小さな穴の開いた抵抗コネクターがあるということは、吸気回路の内圧が高くなっており、設定できる気道内圧よりも高くなっています。

 SLEの定常流の流量が異なりますが、5L/min15L/minで固定されています。同じ呼吸器回路の太さであれば、流量が多くなるほど、吸気回路の内圧が高くなります。また、同じ定常流であれば、内径10~12㎜の新生児用呼吸器回路と内径15㎜の小児用呼吸器回路では、内径の細い新生児用呼吸器回路の方が、吸気回路の内圧は高くなることになります。

 SLEは固定された定常流に対して、吸気回路内圧が一定の高い圧力でキープされているかを監視しています。吸気回路が人工呼吸器から外れると、瞬間的に回路以上の警報が作動するのは、常に高い圧力でキープされている圧力が低下するためで、吸気回路外れの安全機構としては優れています。

 SLEの吸気回路内圧が高いということは、自動給水の加温加湿チャンバーの水面には、他の人工呼吸器とは異なり、高い圧力が常に加わっています。

 よって、給水ボトルの高さが低いと、吸気回路内圧に負けてしまい、給水ボトルに空気が逆流してしまい、給水ボトルはパンパンに膨れてしまうことになります。この様な状況になれば、給水もできなくなります。

 給水ボトルが膨れるということは、呼吸器回路の死腔(デッドスペース)が増加し、コンプレッションボリュームも増えることから、患者さんへの圧の伝わり方が鈍くなるなど、換気に影響します。

 また、給水ができなければ、乾燥気体を送気することになり、患者さんの分泌物が硬化することや、線毛運動の停止、線毛の損傷、最終的には肺胞が壊れガス交換が低下するという悪影響が起こります。

 したがって、SLEシリーズの人工呼吸器を使用する場合には、給水ボトルを高い位置にセッティングすることが必要になります。給水ボトルを吊るすためのポールの固定位置を高くすることや、長いポールを使用する方法もあります。

 しかしながら、自動給水型加温加湿チャンバーの給水チューブの長さは決まっていますので、給水ボトルと給水チューブが引っ張られない程度の高さにすることが必要です。この様に、人工呼吸器によっては、自動給水用の給水ボトルの高さを高くする必要があるので、人工呼吸器の制御方法をしっかり理解しておく必要があります。

 ちなみに、SLEシリーズではHFOモードが可能ですが、呼気側からのバックフローによって作られるHFOも、吸気回路の末端にある抵抗コネクターによってブロックされるため、HFOモードを使用しても、吸気回路内圧は通常の換気モードと同じ回路内圧になるので、HFOによって更に吸気回路内圧が上昇することはありませんので、給水ボトルの高さは通常の換気モードと同じで大丈夫です。

 次回も、自動給水に関連する注意点について説明したいと思います。

 

 

 

~この記事の執筆者~

松井 晃

KIDS CE ADVISORY代表。臨床工学技士。

小児専門病院で40年間勤務し、出産から新生児医療、急性期治療、慢性期医療、在宅医療、ターミナル期すべての子供に関わり、子供達から“病院のお父さん”と呼ばれる臨床工学技士。
小児呼吸療法を中心としたセミナー講師や大学の講師などを務める。著書多数。

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