【よくわかる! 加温加湿入門 Part1 】絶対湿度を理解しよう
本コラムは、『よくわかる!加温加湿器入門』の連載です。
加温加湿器の理解を深めていきましょう。
絶対湿度を理解しよう
加温加湿器は人工呼吸療法では必須のアイテムであり、
「分泌物管理無くして呼吸管理無し!」と言えるほど加温・加湿は重要です。
この重要な加温・加湿を理解するにあたって、まずは「絶対湿度」を理解する必要があります。
普段の生活では聞きなれない絶対湿度ですが、とても重要な単語となりますので、
まずは、「絶対湿度とは何だろう」「人工呼吸管理をするにあたって適切な絶対湿度は何だろう」
ということから説明を始めます。
皆さんの目の前に存在する空気。
その空気を表すのには、「温度」「相対湿度」「絶対湿度」の3つの関係性で説明することができます。
「温度」は言わずとしれた単語ですね。ですので、説明は省きましょう。
次に「相対湿度」ですが、気象予報士が天気をお知らせする時に良く使う「湿度」のことです。
「夏はジメジメしていて湿度が高い。」「冬は乾燥していて湿度が低い。」なんて感じで使われます。
本来であれば「相対湿度」と言わないと正しくありません。
空気中にこれ以上水分が溶け込むことができない状態、
いわゆる相対湿度が100%の時の水分量を飽和水蒸気量と言い、図1のような飽和水蒸気曲線で表されます。
温度が高いほど空気に溶け込むことのできる水分が増えていくのが分かります。
そうです、絶対湿度とは、1Lの空気の中に溶け込んでいる水分の量を示す単語で、mg/Lと言う単位で表します。
5℃の時の飽和水蒸気量は6.8㎎/L、同様に10℃では9.4㎎/L、20℃では17.3㎎/L、
30℃では30.3㎎/L、40℃では51㎎/Lになります。
では、体温の37℃では43.8㎎/Lになります。
後で詳しく説明しますが、肺の中の相対湿度は100%で体温が37℃なので、絶対湿度は44㎎/Lになっているのです。
相対湿度100%が飽和した状態ですので、飽和水蒸気になります。
では、相対湿度はどう計算するかと言うと、「絶対湿度/飽和水蒸気量×100」の式で計算できます。
同じ温度でも、絶対湿度が変われば相対湿度が変化します。
例えば、37℃の相対湿度100%の絶対湿度は44㎎/Lになりますが、
37℃で相対湿度が50%になると絶対湿度は半分になり22㎎/Lになるのです(図2)。
また、同じ相対湿度であっても、温度が変わると絶対湿度も変わります。
温度が高いほど水分を多く含むことができますので、20°の時の相対湿度が100%では絶対湿度は17.4㎎/Lですが、
37℃の相対湿度100%では44㎎/Lになります(図3)
真夏に気温が38℃で相対湿度は90%であれば、空気に多量の水分が含まれているのでジメジメと感じます。
逆に、真冬で気温が5℃で相対湿度が20%であったら、空気にはほとんど水分を含んでおらず、カラカラな空気になっているのです。
カラカラな空気では、風邪をひきやすくなるので、相対湿度を60%~70%に維持しましょう。。。ということで、
加湿器が活躍する季節になります。
まず、第1回は、加温加湿器を理解するための第1歩として、
「温度」「相対湿度」「絶対湿度」の3つの関係について説明しました。
次回は、結露がなぜ発生するかについて説明していきます。
~この記事の執筆者~
松井 晃
KIDS CE ADVISORY代表。臨床工学技士。
小児専門病院で35年間勤務し、出産から新生児、急性期、慢性期、在宅、
ターミナル期すべての子供に関わった経験を持つ。
小児呼吸療法を中心としたセミナーを多く務める。著書多数。