基礎知識

加温加湿器を使用するメリットと選定方法

加温加湿器を使用するメリット

加温加湿器は、その名の通り、加温と加湿が積極的に行えます。
例えば、分泌物の粘度が高い場合は、加温・加湿状態を上げることで分泌物の除去が容易となります。
また、一回換気量が多い場合も加温加湿器の適切な設定を行うことで、絶対湿度を維持した送気ガスを供給できます。

加温加湿器を使用することにより、
長期に渡る人工呼吸管理中において適切な送気ガスの温度と湿度を保つことができます。
気管粘膜や肺胞組織を正常に保つことにより
人工呼吸管理中でも気道や肺内の自浄作用を促し、乾燥によるダメージを抑えることができます。

加温加湿を行わない、もしくは不十分な加温・加湿状態の吸気ガスを送気すると
気道が乾燥し下記のような危険性が発生します。

  • 粘膜線毛運動の浄化作用低下
  • 粘膜粘液の乾燥
  • 分泌物の硬化
  • 分泌物による気道径の縮小化による呼吸仕事量の増大
  • 分泌物貯留による無気肺
  • 気道閉塞の危険性
  • 感染の危険性
  • 細胞損傷

気道乾燥による弊害を防ぐために、加温加湿器による加温・加湿は必要です。

アメリカ呼吸療法学会(American Association for Respiratory Care、AARC)では、
加温・加湿の推奨レベルは温度:34 ~ 41℃、絶対湿度:33 ~ 44mg/L としています。
これを維持できるように、呼吸器回路の吸気側にヒーターワイヤ接続ケーブルが挿入された呼吸器回路を使用することを勧めます。

吸気回路のヒーターワイヤ接続ケーブルにより、回路内結露が軽減でき、
水分ドロップしない(絶対湿度が低下しない)吸気ガスを患者に送気することができます。
また、呼気側にヒーターワイヤ接続ケーブルを組み込みこまれた呼吸器回路もあります。

呼気側のヒーターワイヤ接続ケーブルにより呼気回路の結露を防ぐことができ、
ウォータトラップの水抜きも不要になります。

その他、呼気側に発生した結露水の動きによる圧変動の低下、
自発呼吸のミストリガーの軽減などの有効性があります。

加温加湿器と人工鼻の選択方法

吸気ガスを加温・加湿する方法には、加温加湿器と人工鼻があります。

どちらを使用するかは、そのメリットとデメリットを考慮して選択することが大切です。

  • 人工呼吸療法が長期になる場合や気道分泌物が多いときなどには加温加湿器を選択します。
  • 人工呼吸療法が短期や結露が望ましくないとき、気道分泌物が少ないときや感染症の可能性があるときなどでは人工鼻を選択します (感染症の場合はバクテリアフィルター付の人工鼻を選択します)。

まとめ

人工呼吸管理の期間や分泌物の状態に適した加温・加湿方法(加温加湿器 or 人工鼻)を選択することが重要です。

加温加湿器と人工鼻の併用は禁忌です。
また、人工鼻を装着した状態での吸入療法の併用も禁忌です。

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