ハイフローセラピーに使用される装置
ハイフローセラピーとは
設定された酸素濃度のガスを、1回換気量以上(吸気流量以上)の流量で連続的に鼻カニューレを介して投与する治療法で、吸気仕事量を軽減するなどの効果があります。
成人では30L/分以上の流量で送気され、70L/分程度まで上げることもあります。
ハイフローセラピーでは、通常の酸素療法より安楽な呼吸管理を行なえることや、鼻カニューレを採用しているため、マスクを使用するNPPVと比べ不快感が少なく、飲食やコミュニケーションも可能になることがあるため、QOLの向上に繋がります。
このハイフローセラピーは近年、非侵襲的換気療法(NPPV)に変わる新たな呼吸療法として世界的に注目されています。
ハイフローセラピーに使用される装置について
呼吸管理を行う上で、気道の乾燥を防ぎ、粘膜線毛機能の維持が大切になります。
高流量ガスを送気するハイフローセラピーでは、加温・加湿が非常に重要になります。
ハイフローセラピーの加温加湿器は、パスオーバー方式で温度設定ができるデュアルサーボ方式の加温加湿器を使用することが有用です。
パスオーバー方式の加温加湿器は、加湿チャンバーの水面を通過する瞬間に熱と水分を取り込むシステムであるため、高流量ガスに対しては加温・加湿効率が悪くなります。
効果的なハイフローセラピーを実施するには、適正な加温加湿器の選択が必要であり、この加温加湿器の性能は、加湿チャンバーの水温を100℃近くまで上げられる必要があります。
また、鼻カニューレは、高流量のガスをジェット流にして患者に投与するため、先端形状が細くなっているハイフローセラピー専用の鼻カニューレを使用します。
ハイフローセラピーを行える装置には色々ありますが、酸素配管・空気配管のある施設であれば、「酸素ブレンダー」「高流量型酸素流量計」「加温加湿器」とこの3つを固定する点滴ポールなどがあれば可能です。
その他、人工呼吸器に内蔵されるハイフローセラピーモードや酸素療法モード、ハイフローセラピー専用装置で行うことが可能です。
一番シンプルなハイフローシステムの装置
酸素ブレンダー+高流量型酸素流量計
酸素配管、空気配管のある施設において、酸素濃度を21%~100%まで任意に設定できる酸素ブレンダーを使用してハイフローセラピーが可能で、専用の装置は不要になります。
酸素ブレンダーには酸素流量計が付属しています。
ハイフローセラピーでは高流量のガスを供給するため、成人では70L/分程度の流量が設定できる高流量タイプの酸素流量計が一体になっている酸素ブレンダーを使用します。
酸素ブレンダーに付属する酸素流量計は恒圧式であり、酸素の出口側に抵抗があっても流量を確保できるパワーを持っており、鼻カニューレが狭窄したり、径の細い鼻カニューレを使用する小児でも安定した酸素を供給できます
加温加湿器
酸素ブレンダーの先に設置されるのが加温加湿器です。
ハイフローセラピーで使用される加温加湿器は、パスオーバー方式で吸気回路にヒーターワイヤーが挿入され、温度設定ができる加温加湿チャンバーの出口温と口元温度の2カ所の温度を測定し、設定された温度設定になるように制御するデュアルサーボ方式が多く使用されます。
パスオーバー方式の加温加湿器は、加温加湿チャンバーの水面を通過する瞬間に、温度と水分を与える機能であるため、高流量のガスでは加温加湿効率が低下します。
よって、高流量ガスに対しても十分に加温・加湿ができる機能を有する加温加湿器の選定が重要となります。
鼻カニューレ
鼻カニューレは、ハイフローセラピーに専用のものを使用する必要があります。
ハイフローセラピー専用の鼻カニューレは、その効果を得るために、ジェット流が作りやすいよう、
先端の形状が細くなっています。
また、1回換気量以上のガスを供給するため、不要なガスが鼻腔から逃げるようにする必要があります。(太い鼻カニューレの使用は危険です)
鼻カニューレの太さ(鼻腔の部分)は鼻腔径の1/2のサイズを選択します。
まとめ
加温加湿器.comでは、加温加湿器に関連する専門情報を発信しております。
コラム記事や動画で、加温加湿器、ハイフローセラピーのお役立ち情報を随時更新しておりますので、
ぜひご覧ください。