用語集
か行
か
- 加温加湿チャンバー
加温加湿チャンバーは、人工呼吸器を使用する際の呼吸器回路を構成するデバイスの1つです。 人工呼吸療法を行う場合、加温・加湿した吸気ガスを送気するために加温加湿器を使用します。
加温加湿チャンバーは、加温加湿器に装着します。
加温加湿チャンバーの底を、加温加湿器のヒーターで温め、
給水された滅菌蒸留水(注射用水)を水蒸気化します。パスオーバー方式の加温加湿器は、
チャンバー出口温度を37℃、口元温度を39~40℃に設定することで、
温度37℃、相対湿度100%、絶対湿度44mg/Lの吸気ガスが、
患者口元へ運ばれことを理想としています。加湿チャンバーには水位が下がると自動で蒸留水を滴下する自動給水タイプと
回路を一旦外してから給水する手動給水タイプ、
新生児呼吸回路などで極力容積を減らしコンプレッションボリュームを低減させた低容量タイプなどがあります。加温・加湿されたガスが、室温で冷えないように、吸気回路にヒーターが挿入された加温加湿器もあります。
き
- 気管切開チューブ
気管切開チューブとは、人工呼吸などの呼吸管理を目的として、気管の切開口から挿入して利用される管のことを言います。
救急における挿管困難で短期的な気道確保を目的とした場合と
慢性呼吸不全症例などの長期的な呼吸管理が必要な場合などに使い分けられます。気管切開チューブには、カフ付きのものと、カフなしのものがあります。
カフ付きのものは、気管切開直後や、人工呼吸管理が必要な場合、誤嚥が多い場合に必要となります。
カフは、気管切開チューブの先端に付属しており、気管切開チューブと気道の間を埋め、誤嚥等を防ぎます。
また、吸引タイプのカフもあり、カフ上部に貯留した分泌物を吸引し、除去することが可能です。
カフ付きの気管切開チューブは、誤嚥を防ぐことができるというメリットがある一方で、気道への刺激が強かったり、嚥下しづらかったりするなどのデメリットもあります。- 気管チューブ
気管チューブとは、挿管チューブともいわれ、気道確保を目的として、鼻もしくは口から気管支上部まで挿入するチューブのことを言います。
全身麻酔の際など、人工呼吸管理が必要な場合に気管チューブが用いられます。気管チューブには、「カフあり」のものと「カフなし」のものがあります。
カフとは、気管チューブ先端に付属し、空気を入れて膨らますことができる風船状の部分のことを言います。
カフありのものは、気管チューブと気道の間を埋め、チューブと気管の間から換気した空気が口側に漏れないようにできています。カフなしのものは、新生児や乳幼児の気道確保に活用されることが多いです。
- 気道内圧
気道内圧とは、人工呼吸療法中に気道(人工呼吸回路の口元圧)にかかっている圧力のことを言います。単位はcmH₂O(センチメートルエイチツーオー)で表されます。
人工呼吸中の変化する圧の全般を気道内圧と呼びますが、その圧には、最大吸気圧、PEEP、平均気道内圧、CPAP、ポーズ圧などがあります。
- 強制換気
強制換気とは、人工呼吸器によって陽圧を加えて1回換気量を得ようとする換気法です。
自発呼吸に合わせて陽圧を加える強制換気を補助換気とも呼びます。強制換気の方法には量と圧の制御の2つがあります。
1回換気量を設定して強制換気する方法が量規定換気(VCV:Volume Controlled Ventilation)です。
最大吸気圧を設定して1回換気量を得ようをする強制換気の方法が圧規定換気(PCV:Pressure Controlled Ventilation))です。
け
- 経鼻高流量療法・経鼻高流量酸素療法
経鼻高流量療法(NHFT:Nasal High Flow Therapy)、経鼻高流量酸素療法(NHFOT:Nasal High Flow Oxygen Therapy)はハイフローセラピーと同義語で、その他、ネーザルハイフロー、高流量鼻カニューレ療法(HFNC(T):High Flow Nasal Cannula Therapy)、高流量酸素鼻カニューレ療法(HFNCO(T):High Flow Nasal Cannula Oxygen Therapy)など多くの呼び名、略語が存在する治療法です。ネーザルハイフローと呼ばれることが多かったのですが、全て同義語で同じ治療法になります。日本ではハイフローセラピーと言う名称で診療報酬が算定されるので、このサイトでは『ハイフローセラピー』で統一して説明します。
ハイフローセラピーでは、酸素療法より高精度な呼吸管理を行なえる上、鼻カニューラを採用しているため、飲食やコミュニケーションも可能で、患者の不快感も少なく、QOL維持に繋がります。
このハイフローセラピーは近年、非侵襲的換気療法(NPPV)の新たな選択肢として、世界的に注目されている新しい呼吸療法です。
こ
- 高流量鼻カニューレ療法・高流量酸素鼻カニューレ療法
経鼻高流量療法(NHFT:Nasal High Flow Therapy)、経鼻高流量酸素療法(NHFOT:Nasal High Flow Oxygen Therapy)はハイフローセラピーと同義語で、その他、ネーザルハイフロー、高流量鼻カニューレ療法(HFNC(T):High Flow Nasal Cannula Therapy)、高流量酸素鼻カニューレ療法(HFNCO(T):High Flow Nasal Cannula Oxygen Therapy)など多くの呼び名、略語が存在する治療法です。ネーザルハイフローと呼ばれることが多かったのですが、全て同義語で同じ治療法になります。日本ではハイフローセラピーと言う名称で診療報酬が算定されるので、このサイトでは『ハイフローセラピー』で統一して説明します。
ハイフローセラピーでは、酸素療法より高精度な呼吸管理を行なえる上、鼻カニューラを採用しているため、飲食やコミュニケーションも可能で、患者の不快感も少なく、QOL維持に繋がります。
このハイフローセラピーは近年、非侵襲的換気療法(NPPV)の新たな選択肢として、世界的に注目されている新しい呼吸療法です。- 呼気終末陽圧
呼気終末陽圧は、PEEP( Positive End-Expiratory Pressure)と略され、呼気終末に陽圧をかけることで肺胞の虚脱や気道の虚脱を防ぐための人工呼吸の管理方法です。
PEEPの効果は下記になります。 ①肺胞の虚脱・再解放を繰り返すことによる肺損傷の軽減
②機能的残気量(FRC)の増加による酸素化効率の増大
③呼吸仕事量の軽減
④1回換気量の増加→PaCO2の正常化
⑤気道を広げる
一方で、高いPEEPでは、胸腔内圧の上昇により、静脈還流の低下が起こり心拍出量の低下や尿量の減少、脳圧の亢進などの副作用があるため注意が必要です。- 呼吸器回路
呼吸器回路とは、患者と人工呼吸器をつなぐ回路のことを言います。
呼吸器回路には、換気制御や加温・加湿方法の違いにより様々な種類があります。
呼気弁を使用して制御する場合には、呼気弁が内蔵された人工呼吸器に使用する回路、呼気弁が呼吸器回路内に挿入された回路があります。呼気弁を使用せずに制御する場合に呼気ポートと呼ばれるリークポートが呼吸器回路内に挿入されています。また、吸気回路と患者に繋がるカテーテルマウントの間に、呼気弁もしくは呼気ポートが挿入されたシングル回路と吸気回路と呼気回路を有するダブル回路があります。
体重毎に呼吸器回路の太さが変わり、10~12㎜径の新生児用、15㎜径の小児用、22㎜径の成人用があります。「人工鼻用回路」と「加温加湿器用回路」に分けられます。- 呼吸性アシドーシス
血液のpHは7.40±0.05の範囲に保たれています。pHが7.35より低く酸性に傾いている血液の状態をアシデミアと言います。呼吸が原因によりアシデミアが生じている病態を呼吸性アシドーシスと言います。しかし、呼吸性アシドーシスは必ずしもpHが7.35より小さいとは限らず、pHが正常範囲内でも起こります。呼吸性アシドーシスは、分時換気量の低下(1回換気量の減少や呼吸回数の減少)によりPaCO₂が上昇することによって起こるため呼吸性になります。
- 呼吸性アルカローシス
血液のpHは7.40±0.05の範囲に保たれています。pHが7.45より高くアルカリ性に傾いている血液の状態をアルカレミアと言います。呼吸が原因によりアルカレミアが生じている病態を呼吸性アルカローシスと言います。しかし、呼吸性アルカローシスは必ずしもpHが7.45より大きいとは限らず、pHが正常範囲内でも起こります。呼吸性アルカローシスは、分時換気量の増加(1回換気量の増加や呼吸回数の増加)によりPaCO₂が低下することによって起こるため呼吸性になります。